バングラデシュのコウモリ由来SARS‑CoV‑1類似ウイルスのゲノム監視　EID

Genomic Surveillance Detection of SARS-CoV‑1–Like Viruses in Rhinolophidae Bats, Bandarban Region, BangladeshCitationEID (2025年8月号)論文の要約本研究は、バングラデシュ南東部バンダルバン地域におけるコウモリ（Rhinolophidae科）から採取された糞便サンプルのウイルスゲノム解析を通じて、SARS‑CoV‑1に類似したサルベコウイルスの検出を報告している。調査期間中に収集された複数サンプルのうち、特にB4サンプルからは、SARS‑CoV‑1 Tor2株に比較的近縁な配列が得られ、一部のサンプルではスパイク蛋白のRBD領域に特徴的な変異や欠失が確認された。これらの変異により、特定のコウモリACE2受容体への結合能が変化している可能性が示唆された。構造モデリングと宿主ACE2配列の比較解析により、このウイルスが地域に生息する小型哺乳類やヒトのACE2とも相互作用しうる可能性があり、将来的なスピルオーバーリスクを示す重要な証拠となっている。本論文は、サルベコウイルスの宿主範囲や感染能力の多様性を理解するうえで重要な知見を提供しており、今後のパンデミック対策としてのコウモリ由来ウイルスの生態学的監視の重要性を再確認させる内容である。

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