レビュー：腸–気道マイクロバイオーム軸の健康と呼吸器疾患への関与　Nature Reviews Microbiology

The gut–airway microbiome axis in health and respiratory diseasesCitationNature Reviews Microbiology, 22:492–506 (2024)論文の要約本レビュー論文は、腸内マイクロバイオームと呼吸器（気道）マイクロバイオームの相互作用の仕組みと、これがヒトの健康および気道疾患にどのように関与するかを総合的に解説している。腸–気道軸の概念：腸と気道は共通の粘膜免疫系を介してつながっており、腸内微生物が産生する代謝産物（短鎖脂肪酸など）が気道の免疫細胞を調節し、炎症や感染に対する応答を左右する。健康状態におけるバランス：バクテリオファージを含む腸内ウイルス・細菌群集が腸–気道軸を維持する上で重要であり、通常時は免疫バランスの維持や疾患抵抗性に寄与する。疾患との関連：喘息、慢性閉塞性肺疾患（COPD）、気道感染症（インフルエンザやCOVID-19など）において、腸–気道軸の乱れが炎症の増悪や感染感受性上昇に寄与するというエビデンスが複数報告されている。介入戦略の可能性：食事介入やプロバイオティクス、短鎖脂肪酸のサプリメント、菌株投与などを通じて腸–気道軸を調整することで、肺炎やアレルギー、喘息などの予防・治療に役立つ可能性が提示されている。将来的視点：腸–気道マイクロバイオーム解析によるバイオマーカー探索や、個別化医療（personalized medicine）への応用、さらに微生物干渉を介した免疫調節戦略の開発など、多様な臨床応用が見込まれている。本論文は、感染症・呼吸器疾患・免疫制御という交差領域において、微生物体内分布のダイナミクスと代謝・免疫機構をつなぐ包括的な視点を提供しており、感染症専門家、公衆衛生関係者、マイクロバイオーム研究者にとって示唆深い内容となっている。

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