日本におけるリステリア症の臨床・ゲノムサーベイランス　Journal of Infection

A 10 year Multicentre clinical and genomic surveillance of listeriosis across JapanCitationJournal of Infection, S0163‑4453(25)00146‑X, https://doi.org/10.1016/j.jinf.2025.01.046論文の要約本研究は、2011年から2021年にかけて日本全国24施設で実施された多施設後ろ向き研究であり、リステリア症（Listeria monocytogenes感染症）の臨床像とゲノム特性を統合的に解析した。対象となった195例の非周産期症例のうち、17％（31例）は院内発症（入院3日目以降の発症）であり、これらは固形腫瘍や化学療法などの免疫抑制状態との関連が顕著であった。院内発症例は中枢神経系合併症を起こす頻度が低く、院内死亡率は地域発症例とほぼ同程度であった。ゲノム解析では、院内発症例ラックに由来する19株、地域発症例由来76株を対象に、コアゲノム多型解析を実施し、院内発症株はクローン性の多様性が高く、リスクの高いCC1クローンは低頻度であることが明らかとなった。本研究は、免疫抑制状態下における院内リステリア症の発生実態と、そのゲノム的背景を明らかにした初の全国規模解析であり、予防・監視戦略の拡充に向けた重要な基盤情報を提供するものである。

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