耐性菌の逆襲！トロイの木馬「セフィデロコル」とカルバペネム耐性大腸菌CRECの知られざる戦い　Journal of Infection

High prevalence of cefiderocol resistance in carbapenem-resistant Escherichia coli: a warning from multicenter clinical data in ChinaCitationJournal of Infection, 2025; in press概要2019〜2022年に中国27の三次病院から収集したカルバペネム耐性大腸菌（CREC）638株を対象に、セフィデロコルを含む16種類の抗菌薬に対する感受性と耐性機構を解析した。薬剤感受性全体でのセフィデロコル感受性率は82.5％で、タイゲサイクリン（100％）、ポリミキシンB（95.9％）に次いで高かった。99株（15.5％）がセフィデロコル耐性で、そのうち88.9％が高レベル耐性（MIC≥32mg/L）を示した。耐性株の特徴耐性株の大半（97.0％）はcirA遺伝子の機能喪失変異を有し、かつNDM型メタロ-β-ラクタマーゼ（特にNDM-5）を産生。cirA欠損とNDM産生の相乗作用が主要耐性機構と確認された。他の耐性機構として、cirA欠損＋複数コピーのblaCMY-2（AmpC β-ラクタマーゼ）や、ペニシリン結合タンパク質3（PBP3, ftsI）変異とNDM産生の組み合わせが一部株で確認された。系統解析ではST167が耐性株の55.6％を占め、院内クラスター伝播の兆候もみられた。臨床的含意NDM産生CRECにおけるセフィデロコル耐性率は高く、単剤使用には慎重な適応判断が必要。特にNDM保有株には、アズトレオナム＋セフタジジム-アビバクタムなどMBL活性を回避できる併用療法の検討が推奨される。

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