HIVワクチン開発の壁：期待されたImbokodo試験の失敗と未来への問い　Lancet ID

Mosaic HIV-1 vaccine regimen in southern African women (Imbokodo/HVTN 705/HPX2008): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2b trialCitationLancet Infectious Diseases, 2024; 24:1201–1212要約Imbokodo試験は、HIV-1感染リスクが高い南部アフリカ在住の18〜35歳女性2,636名を対象に、モザイク免疫原を用いたAd26ベクターHIV-1ワクチン（Ad26.Mos4.HIV）とアルミニウムリン酸アジュバント付加Clade C gp140タンパクの4回接種レジメンの有効性・安全性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照第2b相試験である。主要評価：初回接種から7〜24か月間のHIV-1新規感染予防効果（VE[7–24]）結果：ワクチン群3.38件/100人年、プラセボ群3.94件/100人年（VE[7–24] = 14.1%, 95%CI -22.0〜39.5, p=0.40）で統計的有意差なし年齢・BMI・国別のサブ解析でも有効性は示されずプラセボ群の感染率は約3.9件/100人年と非常に高かった安全性：局所反応・全身反応はプラセボより多いが多くは軽度〜中等度。重篤有害事象や死亡でワクチン関連と判定された事例はなし。結論このモザイクHIV-1ワクチンは、安全性は良好だったもののHIV-1感染予防効果は示されなかった。非ヒト霊長類での高い防御効果はヒト試験に翻訳されず、既存の動物モデルの限界が示唆された。今後は、より関連性の高い前臨床モデルや、広範中和抗体誘導など新規戦略が必要とされる。

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