IEの常識が変わる？！左心系感染性心内膜炎の「点滴から飲み薬へ」新しい治療選択肢を徹底解説　NEJM

Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis (POET trial)CitationN Engl J Med. 2019 Jan 31;380(5):415–424. doi: 10.1056/NEJMoa1808312.概要本研究（POET試験）は、左心系感染性心内膜炎患者における経口抗菌薬治療への切り替えが、静注抗菌薬治療継続に比べて非劣性かどうかを検証した無作為化非劣性試験である。対象はデンマーク国内の多施設に入院した成人400例で、原因菌は連鎖球菌、Enterococcus faecalis、Staphylococcus aureus、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌であった。患者は少なくとも10日間の静注治療後に、静注継続群（199例）と経口切替群（201例）に割り付けられた。経口群はバイオアベイラビリティが高い薬剤を2種類組み合わせて用い、薬力学的に十分な血中濃度が得られるよう設定された。主要複合エンドポイント（全死亡、非予定心臓手術、塞栓症、起因菌による菌血症再発）の6か月以内の発生率は、静注群で12.1％、経口群で9.0％であり、群間差3.1％（95％信頼区間 -3.4～9.6）で非劣性が証明された。各要素の発生率も両群間で差はなく、死亡率も経口群でむしろ低い傾向を示した。副作用や薬物濃度不足例はあったが、治療失敗には直結しなかった。結論として、左心系感染性心内膜炎の安定期患者において、静注抗菌薬から経口抗菌薬への切り替えは非劣性であり、外来治療の可能性を広げ、入院期間短縮や医療資源節約につながる戦略となり得ることが示された。

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