【チクングニア警鐘】2025年フランスの異例な感染拡大から学ぶ、北上する脅威と迫られる公衆衛生戦略の転換　Eurosurveillance

Multiple early local transmissions of chikungunya virus, Mainland France, from May 2025CitationEuro Surveill. 2025; 30(32): 2500545概要2025年、フランス海外県レユニオン島で大規模なチクングニア熱の流行が発生し、7月10日までにフランス本土で1,911例の輸入症例が報告された。そのうち89％はレユニオン島渡航歴を有した。5地域で計10件（27例）の地域内伝播事例が確認され、その発生時期は例年より早かった。媒介蚊であるヒトスジシマカ（Aedes albopictus）はフランスの広い範囲に定着している。発生状況初めて5月に地域内伝播が発生し、6月にも6件が発生。過去の記録では最も早い地元発症例は6月12日だった。10件中4件で輸入例が推定され、すべてがレユニオン島帰国者。最大規模はSalon-de-Provenceでの13例、その他は1〜3例規模の小規模集積。地理的特徴ほとんどが過去から媒介蚊が定着している地域（PACA、オクシタニー、コルス、オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ）で発生。グラン・テスト地域（バ＝ラン県）で初めて地域内伝播が確認された。要因とリスク輸入例の多さと、媒介蚊への適応性が高いCHIKV株の存在が、活動期初期での発生要因と推定。新規定着地域でも伝播が起こる可能性が示され、北部や欧州他地域への拡大リスクが懸念される。公衆衛生上の対応と課題迅速な症例同定と殺虫剤散布、媒介源除去、患者への防蚊指導などにより事例は小規模にとどまった。しかし事例対応は資源集約的で、多発時には監視・対応能力が逼迫する懸念がある。結論2025年にフランス本土で例年より早期に複数の地域内伝播が発生したことは、チクングニア熱を含む蚊媒介ウイルス感染症の脅威増大を示す。媒介蚊分布拡大や輸入症例増加に対応した監視強化、資源確保、緊急時対応計画の策定が必要である。

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