マラリア対策のゲームチェンジャーか？単回注射で挑む「L9LS」の可能性と課題～　NEJM

Subcutaneous Administration of a Monoclonal Antibody to Prevent MalariaCitationNew England Journal of Medicine, 2024; 390:1549–1559論文の要約本ランダム化二重盲検プラセボ対照第2相試験は、マリのP. falciparum流行地域で、6〜10歳の健康児に対するモノクローナル抗体L9LS単回皮下注射の安全性と有効性を評価したものである。方法2段階構成で実施。パートAでは成人と小児での安全性評価と用量漸増試験（150mg・300mg皮下注）、パートBでは小児225名を150mg群、300mg群、プラセボ群に1:1:1で無作為化し、6か月間の追跡を行った。全例、投与前にアルテメテル・ルメファントリンで既感染除去を実施。結果P. falciparum感染予防効果：150mg群で66%（調整95%CI 45–79）、300mg群で70%（調整95%CI 50–82）（いずれもp<0.001）。臨床マラリア発症予防効果：150mg群で67%（調整95%CI 39–82）、300mg群で77%（調整95%CI 55–89）（いずれもp<0.001）。安全性は良好で、重篤有害事象なし。局所反応や全身反応は軽度・一過性で、発生率はプラセボ群と同等。考察L9LS単回皮下注射は、マラリア流行期の学童においてP. falciparum感染および臨床マラリア発症を高率に予防した。学童は現行のワクチン（RTS,S/AS01、R21/Matrix-M）や季節的化学予防の対象外であることが多く、同抗体はこの年齢層の新たな予防オプションとなる可能性がある。

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