レビュー：UVライト殺菌は病院の救世主か？感染対策のリアルと限界　Journal of Hospital Infection

Impact of Ultraviolet Light Disinfection on Reducing Hospital-Associated Infections: A Systematic Review in Healthcare EnvironmentsCitationJournal of Hospital Infection, 2025; 159: 32–41概要本系統的レビューは、紫外線（UVL）を用いた環境消毒が院内感染（HAIs）の発生率に与える影響を評価した25件の研究（2013〜2022年）を分析した。対象は米国の研究が大半で、UV-CとパルスキセノンUV（PX-UV）が中心であった。PX-UVの効果多くの研究でClostridioides difficile感染（CDI）の減少を報告し、集中治療室（ICU）など高リスク環境では最大70％の低下がみられた事例もある。VREやMRSAの減少、Acinetobacter baumanniiに対する有効例もあり、長期ケア施設や手術部位感染（SSI）の低減報告も存在。ただし、施設やプロトコルによっては有意差が出なかった報告もあった。UV-Cの効果ICUや血液腫瘍内科などでのHAI全体の減少（例：34％減）や、CDI・VRE・MRSAの発生率低下が報告された。特にCDIに関しては、UV-C併用で25〜64％の減少を示す例がある。一方で、効果が限定的な結果や感染種別による差異もみられた。効果に影響する要因成功例は高い基礎感染率や高リスク病棟で多く、既存の感染対策（手指衛生、漂白剤清拭など）との併用で相乗効果が見られた。環境や患者集団、機器の配置、照射範囲の影、コスト、運用体制も重要な決定因子とされた。結論UVL消毒はHAIs削減の有望な補助戦略であり、特に高リスク領域や多剤耐性菌対策に有効となり得る。ただし単独での効果には限界があり、他の感染予防策と組み合わせた包括的アプローチが推奨される。今後は費用対効果や最適使用条件の検討、大規模RCTによるエビデンス蓄積が必要である。

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