レビュー：グローバルな抗菌薬開発と前臨床パイプラインの展望　Nature Reviews Microbiology

Global health perspectives on antibacterial drug discovery and the preclinical pipelineCitation（形式）Nature Reviews Microbiology (2025)論文の要約本レビューは、多剤耐性菌の蔓延という世界的課題を背景に、抗菌薬開発の現状と前臨床段階までのパイプラインを俯瞰的に整理している。著者らは多数の治療薬候補を対象に、その創薬戦略の多様性と革新性を示しつつも、臨床成功率の低さや高い開発費用という障壁が継続的に存在している点を指摘している。新規開発の多くは既存薬の改良型である一方で、作用機序の異なる化合物群（リポソーム合成阻害、脂質A前駆体阻害、ペプチドグリカンまたはイソプレノイド代謝標的など）も前臨床段階に多数存在する。一部はクロス耐性を回避できる可能性があるが、収益見込みの低さから資金調達や市場展開に遅れが生じることが課題とされている。また抗菌薬単独では対応困難な感染症に対して、バクテリオファージ療法や抗ウイルス併用治療といった代替戦略の潜在的有用性も論じられており、エコシステムとして統合的に対策を講じる必要性が強調されている。本論文は、バイオ医薬品産業、感染症制御、公衆衛生政策に関わる研究者・臨床家・政策立案者を対象に、現状の課題と今後の可能性を示す一読に値するレビューである。

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