レビュー：パンデミックの火種「スピルオーバー」を初期段階で防ぐ鍵　ワンヘルス調査の重要性　EID

A Roadmap of Primary Pandemic Prevention Through Spillover InvestigationCitationEmerging Infectious Diseases, 2025; 31(8): 1501–1506要約COVID-19パンデミック以降、伝播後の対応や資源投入は進んだものの、ヒトへの「スピルオーバー（動物由来病原体の初感染）」を未然に防ぐ一次予防はなお軽視されがちである。本レビューでは、オーストラリアでのヘンドラウイルス事例やバングラデシュでのニパウイルス事例を基に、スピルオーバー事象を察知した段階から「One Health」調査を展開し、将来的なパンデミック予防につなげるプロセスを提案する。スピルオーバー調査の流れ発症例の検出から病原体の特定、疫学的・環境的・動物学的調査を連携して行うことで、感染の源や伝播要因を解明し、一次予防につながる介入戦略の構築を可能にする。事例から得られた知見ヘンドラウイルス：コウモリの餌不足による行動変化がスピルオーバーを誘発する可能性があり、餌となる自然環境の回復が予防につながる例。ニパウイルス：椰子の樹液採取時にコウモリが汚染しないよう容器にカバーを用いる単純な対策が、スピルオーバーリスクを大幅に低減した実例。展望と課題スピルオーバー防止には、診断や調査の即時性、多分野協働、住民・政策の理解と支援が必要である。しかし調査には経済的・政治的な障壁が多く、報告へのインセンティブ構築や地域社会の受容性向上が不可欠である。

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