レビュー：ヒトの真菌感染症の病態形成　Nature Reviews Microbiology

The pathobiology of human fungal infectionsCitationNature Reviews Microbiology, 22(11):687–704 (2024)論文の要約本レビューは、ヒトにおける真菌感染症の発症機構と病態進展について、病原体側・宿主側の分子レベルの相互作用に焦点を当てて包括的に解説している。感染症の背景：真菌は多くの場合、常在菌または環境中に広く存在しているが、免疫低下や医療行為の影響により、侵襲性真菌感染症（IFI）が増加している。年間150万人以上の死亡に関与しているとされる。主要な病原真菌：Candida spp.、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformans などが代表的であり、それぞれに特徴的な侵襲経路と免疫逃避機構を持つ。宿主応答：真菌細胞壁成分（β‑グルカン、マンナンなど）に対する宿主パターン認識受容体（PRR）の反応、炎症誘導、T細胞偏倚（Th1/Th17応答）などが詳細に説明されている。慢性化・再発・重症化の機構：免疫不全だけでなく、真菌の形態変化や代謝適応、バイオフィルム形成が慢性化と治療抵抗性に寄与することが明らかにされている。治療と診断の展望：トリアゾール耐性、エキノカンジンの限界に対する新規抗真菌薬の開発状況、ならびにバイオマーカーや免疫モニタリングによる診断補助の将来性が提示されている。本論文は、侵襲性真菌感染症の基礎理解から臨床応用、治療革新に向けた課題を網羅的に捉えており、感染症医、免疫学者、薬剤開発関係者にとって必読の内容である。

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