レビュー：マイクロバイオームとがん ― トランスレーショナルサイエンスの最前線　JAMA

The Microbiome and Cancer: A Translational Science ReviewCitationJAMA, 2025; 333(24): 2188-2196論文の要約本レビューは、消化管や腫瘍内に存在する微生物が、発がん、転移、がん治療への反応、副作用発現に及ぼす影響について、臨床・基礎研究の最新知見を整理している。発がんとの関係：Helicobacter pylori や高リスク型HPVなどは発がんに寄与し、抗菌薬やワクチンによる予防が可能。腫瘍内細菌（例：Fusobacterium nucleatum）は免疫抑制や化学療法耐性に関与。治療反応性：腸内マイクロバイオームの多様性が高いほど免疫チェックポイント阻害薬（ICI）の効果が高く、特定の菌群（Akkermansia muciniphila、Faecalibacteriumなど）が良好な転帰と関連。一方、広域抗菌薬投与はICI効果を低下させ、全生存期間の短縮と関連。副作用との関連：腸内細菌叢の構成はICI関連大腸炎や移植後GVHD、CAR-T細胞療法のサイトカイン放出症候群発症リスクに影響。介入戦略：FMT（糞便微生物移植）：免疫療法抵抗性メラノーマでICI再投与と併用し反応性改善を示す小規模試験あり。プロバイオティクス・プレバイオティクス：一部でPFS延長報告あるが、逆効果の可能性も。食事・生活習慣：高食物繊維摂取や発酵食品摂取が有益な免疫・炎症プロファイル改善と関連。標的抗菌薬やバクテリオファージ：腫瘍内有害菌除去による治療効果増強の研究が進行中。微生物を利用した治療：BCG膀胱注入療法や、がん細胞内で薬剤を放出するよう設計した細菌などが前臨床で検討中。バイオマーカーとしての応用：腸内マイクロバイオームプロファイルや血中分子マーカー（例：可溶性MAdCAM-1）がICI治療予後予測に有望。

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