レビュー：消毒剤および抗菌剤の作用機序と耐性　Nature Reviews Microbiology

Disinfectants and antiseptics: mechanisms of action and resistanceCitationNature Reviews Microbiology, vol. 22, pp. 4–17 (2024)論文の要約本レビューは、医療・産業・環境分野で広く使用される消毒剤および抗菌剤（バイオサイド）の作用機序と、それに対する微生物耐性の仕組みを総合的に整理した内容である。作用機序の多様性　膜破壊、タンパク質や酵素の変性など、多数の細胞部位を標的とすることで、不可逆的な殺菌か可逆的な静菌が引き起こされる。耐性獲得のメカニズム　低濃度曝露による応答誘導、エフェクスポンプ活性の上昇、膜構造の改変、バイオフィルム保護などにより、耐性菌が出現しうる。耐性と薬剤耐性の交差　消毒剤への耐性が薬剤耐性と連動して進展し、耐性遺伝子の水平伝播も促進されるため、抗菌薬の有効性低下にも関与する。現場への影響　不適切な使用（濃度・接触時間の不足など）は、耐性菌の選択圧となり、医療施設や食品製造現場において耐性菌定着の温床となりうる。対策と今後の展望　使用プロトコルの標準化、モニタリング体制の整備、バイオフィルム対策、交差耐性の理解促進が不可欠。新規バイオサイドの設計や抗耐性評価も重要である。本論文は、感染制御、環境微生物学、医療安全などさまざまな分野において、消毒剤と抗菌剤関連の耐性問題に対処するための科学的基盤を提供する重要なレビューである。

There are no comments yet.

Please log in to write the first comment.