レビュー：野兎病の30年データ　最恐の感染症に効く治療薬、バイオテロへの備えとシプロフロキサシンの可能性　CID

Systematic Review: Clinical Features, Antimicrobial Treatment, and Outcomes of Human Tularemia, 1993–2023CitationClinical Infectious Diseases, 2024; 78(Suppl 1): S15–S27概要本レビューは、1993〜2023年に報告された野兎病（Francisella tularensis感染症）870例を対象に、臨床像・抗菌薬治療・転帰を系統的に解析した。データは35か国から報告され、半数以上が米国、トルコ、スペインで占められた。主要な臨床型は潰瘍リンパ節型、口咽頭型、リンパ節型、肺型であった。患者背景と診断小児例が多く、特に0〜4歳、10〜14歳が目立った。検査確定例は約3分の1で、残りは臨床的・疫学的に診断された。亜種同定が行われた101例では、Type A（高病原性）は全例米国成人で50％が死亡、Type Bは予後良好であった。治療と転帰アミノグリコシド系（ストレプトマイシン、ゲンタマイシン）投与例では治療成功率が高く、再発は少なかった。フルオロキノロン系（シプロフロキサシン）も有効性を示し、再発率は低かった。一方、テトラサイクリン系（ドキシサイクリン）は再発率がやや高く、短期投与では失敗例が増えた。βラクタム系、スルホンアミド系は無効例が多かった。重症例と合併症肺型やチフス型では入院・集中治療が必要となる例があり、死亡率も高かった。小児例では咽頭型の割合が多く、成人例では潰瘍リンパ節型や肺型が多かった。結論野兎病の治療では、アミノグリコシド系およびフルオロキノロン系抗菌薬が高い有効性を示す。再発予防のためには十分な投与期間が必要であり、病型や亜種に応じた薬剤選択が重要である。

There are no comments yet.

Please log in to write the first comment.