レビュー：骨・関節感染症における細菌の病原性、免疫応答と臨床マネジメント　Nature Reviews Microbiology

Skeletal infections: microbial pathogenesis, immunity and clinical managementCitationNature Reviews Microbiology, vol. 20, pp. 385–400 (2022)論文の要約本レビューは、骨および関節感染症（骨髄炎、人工関節感染など）を引き起こす病原菌の病因、宿主免疫反応、感染の永続化メカニズムから、最新の診断・治療戦略までを広く概観している。病原性機序の理解強化Staphylococcus aureusは生体内でバイオフィルムや膿瘍コミュニティを形成し、さらに骨組織内の微小孔に侵入することで、免疫回避および持続感染を可能にする。免疫応答と回避戦略宿主は好中球やマクロファージによる貪食や酸化ストレスで病原体排除を図る一方、細菌は生体膜貫通や細胞内定着などを通じてこれを回避し、慢性化を促進する。診断・治療への応用定型的診断法および創の採取・培養に加え、バイオフィルム検出や細胞内感染部位へのアクセス改善は、治療成否に大きく関与する。外科的デブリードマンと長期抗菌薬療法の併用が標準とされるが、新規抗バイオフィルム薬剤やマイクロ構造ターゲティング技術の応用が模索されている。今後の展望骨細胞内の微細領域に病原体が潜伏する構造解析や、免疫への干渉機構を標的とした治療法の開発が期待される。これにより、再発防止や機能温存を目指した包括的治療体系構築が進むと考えられる。本レビューは、骨・関節感染症を引き起こす微生物と宿主の複雑な相互作用を解明し、診療現場への具体的インプリケーションを示す内容として、感染症専門医、整形外科医、微生物学研究者にとって極めて有用である。

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