世界のICUを襲う感染症と薬剤耐性：EPIC III国際研究が暴く衝撃の現状と未来への提言　JAMA

Prevalence and Outcomes of Infection Among Patients in Intensive Care Units in 2017JAMA. 2020 Apr 21;323(15):1478–1487. doi:10.1001/jama.2020.2717本研究は、2017年9月13日に世界88か国1,150施設のICUで実施された24時間スナップショット調査である。主な目的は、ICU入室患者における感染の頻度とそのアウトカムを把握することである。感染の推定・確定例の有病率：54％のICU患者が感染を疑われるもしくは確定していた。抗菌薬使用状況：70％の患者が少なくとも1種類の抗菌薬（予防的・治療的いずれも）を使用していた。院内死亡率：感染がある患者では30％が院内死亡した。ICU取得感染の影響：ICU取得感染のある患者は地域感染と比べて死亡リスクが有意に高かった（オッズ比約1.3）。耐性菌感染と死亡リスク：バンコマイシン耐性腸球菌、β-ラクタム耐性クレブシエラ、カルバペネム耐性アシネトバクターに感染した場合、他菌感染と比べて死亡リスクが有意に高かった（オッズ比2.4、1.3、1.4程度）。ICUでは、感染の高頻度と高い死亡リスクが常に問題であり、感染管理の強化が不可欠である。ICU取得感染が予後に悪影響を及ぼすことから、院内感染予防策（手指衛生、滅菌手順、抗菌薬適正使用など）の徹底が重要である。耐性菌感染を早期に認識し、重症化・死亡リスクを減らすためのモニタリングおよび治療戦略の確立が必要である。

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