土壌伝播寄生虫（STH）感染の地域集団における駆虫戦略の検証　 Lancet

Feasibility of interrupting the transmission of soil-transmitted helminths: the DeWorm3 community cluster-randomised controlled trial in Benin, India, and MalawiCitationThe Lancet, 2025; volume 405: pages 1267–1281論文の要約本研究は、ベナン・インド・マラウイの3か国において、地域全体を対象とした集団駆虫（community-wide mass drug administration: MDA）により、土壌伝播寄生虫（hookworm など）の感染伝播を中断できるかを評価した大規模クラスターランダム化比較試験である。研究デザイン：各国40クラスター（計120クラスター、約35万人）を無作為に割り付け、3年間で6回のアルベンダゾールMDAを実施。以降24か月は非介入で経過観察を行い、qPCRにて感染率を評価した。主な結果：MDA群では感染率がベナンで44%、インドで41%、マラウイで40%相対的に低下。感染伝播の中断（感染率 ≤2%）を達成したのはベナンの11クラスターのみであり、インド・マラウイでは未達成。有害事象：介入群で13件の重篤な有害事象が発生したが、全例が回復した。臨床的・公衆衛生的意義：学校中心の戦略では不十分な地域も多く、地域全体を対象としたアプローチが感染制御には有効であることを支持しつつも、伝播の完全遮断には至らなかったことから、MDAの頻度・期間・対象拡大の見直しが必要とされる。本研究は、WHOが掲げるSTH制御戦略の評価と再設計に大きな影響を与える成果である。

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