性交後ドキシサイクリン予防（Doxy-PEP）による細菌性性感染症発症予防効果　NEJM

Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted InfectionsCitationNew England Journal of Medicine, 2023; 388:1296–1306論文の要約この多施設オープンラベル無作為化試験は、過去1年以内に淋菌、クラミジア、または梅毒に感染した既往を持つMSM（男性間性交渉者）およびトランス女性を対象に、性交後72時間以内に200mgドキシサイクリンを服用する予防戦略（Doxy-PEP）の有効性と安全性を評価したものである。対象者はHIV PrEP内服中またはHIV感染者の2コホートに分けられ、2:1の比率でDoxy-PEP群または標準ケア群に割り付けられた。主要結果PrEPコホート：1四半期あたりのSTI発症はDoxy-PEP群10.7%、標準ケア群31.9%（相対リスク0.34, 95%CI 0.24–0.46）。HIV感染コホート：同11.8% vs 30.5%（相対リスク0.38, 95%CI 0.24–0.60）。個別疾患別でも淋菌、クラミジア、梅毒すべてでDoxy-PEP群が低発症率。クラミジアではPrEP群で88%、HIV群で74%の相対減少が見られた。治療必要数（NNT）はPrEP群4.7、HIV群5.3。安全性と耐性有害事象は軽度～中等度の下痢や頭痛などが少数報告され、重大有害事象はなし。淋菌のテトラサイクリン耐性はDoxy-PEP群でやや高率（38% vs 12%）だったが、症例数は限られていた。S. aureus保菌率はDoxy-PEP群で減少した一方、ドキシサイクリン耐性率は僅かに上昇。意義Doxy-PEPは、高リスクMSMおよびトランス女性において、HIV感染の有無を問わず細菌性STI発症を約2/3減少させる有効な予防戦略であることが示された。一方で、耐性菌出現や他集団への適用可能性については、さらなる検討が必要である。

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