性感染症の未来を拓く？】髄膜炎ワクチンが淋菌に効く驚きの可能性を徹底解明！　Lancet ID

Effectiveness of a serogroup B outer membrane vesicle meningococcal vaccine against gonorrhoea: a retrospective observational studyCitationLancet Infectious Diseases, 2022; 22:1021–1029論文の要約本研究は、ニューヨーク市とフィラデルフィアにおける性感染症サーベイランスデータと予防接種記録を用い、16〜23歳の若年層におけるMenB-4Cワクチン（4CMenB, Bexsero®）接種と淋菌感染リスク低減との関連を評価した後ろ向き観察研究である。対象・方法2016〜2018年の期間に報告された淋菌感染、クラミジア感染、両者の混合感染（計167,706件）を解析。感染時点でのMenB-4C接種状況を完全接種（2回、30〜180日間隔）、部分接種（1回）、未接種に分類し、クラミジア感染を対照群としてロジビンomial回帰モデルで調整済み有病率比（APR）とワクチン有効率（VE）を算出した。結果完全接種は未接種に比べ、淋菌感染に対して 40%（95%CI 23–53） の有効性を示した（APR 0.60, p<0.0001）。部分接種でも 26%（95%CI 12–37） の有効性（APR 0.74, p=0.0012）を認めた。一方、淋菌とクラミジアの混合感染に対する予防効果は認められなかった。保護効果は6か月・12か月の持続仮定下でもほぼ同等だった。解釈と意義MenB-4Cは淋菌感染リスクを有意に低減し、交差防御効果が示唆された。抗菌薬耐性拡大に伴い淋菌ワクチン開発の重要性が高まる中、既存の髄膜炎菌ワクチンの活用が将来の淋菌予防戦略の一環となる可能性がある。特に、中程度の有効性（30〜50%）でも流行抑制・医療費削減に寄与し得ることが数理モデルで示されており、今後の臨床試験で解剖部位別有効性や免疫機序の解明が求められる。

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