日本人敗血症サバイバーの1年：知られざる現実と支援のギャップ　Journal of Intensive Care

One-year outcomes in sepsis: a prospective multicenter cohort study in JapanJ Intensive Care. 2025 May 1;13(1):23. doi:10.1186/s40560-025-00792-0背景・目的敗血症は集中治療室（ICU）において主要な死亡原因のひとつである。生存した後も多くは「ポストICU症候群（PICS）」と呼ばれる慢性的障害に悩まされ、退院後の生活にも支障をきたす。本研究は、日本におけるICU入室時に敗血症と診断された成人患者の1年後の生存率やPICS発症率など、機能的転帰を包括的に明らかにすることを目的とした。研究デザイン全国20の医療機関の21 ICUが参加した前向き多施設共同コホート研究で、2020年11月～2022年4月にICUに入室し、敗血症診断された成人全患者（Sepsis-3基準）を対象とした。退院後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月にわたって電話および郵送で追跡し、死亡またはPICSの発症を一次アウトカムとした。PICSの定義には身体機能（Barthel Index ≤ 90）、認知機能（Short Memory Questionnaire < 40）、精神状態（不安・抑うつのいずれか、または衝撃体験尺度 IES-R ≥ 25）が含まれる。登録患者数：339名（中央値年齢74歳、男性60％、敗血症性ショック77％、SOFAスコア中央値9）入院時死亡率：23％12ヶ月時点の死亡率：37％に上昇退院時にPICSを有する、または死亡した割合：89％3 / 6 / 12ヶ月時点での死亡＋PICS発症率：73％ → 64％ → 65％QOLや職場復帰：再入院率40％、救急受診率31％、職場復帰率44％診療サービスの利用：リハビリ受診率15％、精神科受診率7％ にとどまった本研究は、日本のICU敗血症患者の1年後の転帰を全国規模で評価した初の報告である。入院中、あるいは退院直後にPICSを有する患者は非常に多く、その後も長期にわたり高頻度に機能障害や再入院を経験していた。また、リハビリや精神的ケアの受療率が極めて低い現状も明らかにした。したがって、退院後の継続的支援体制、包括的リハビリ、精神ケアの重要性が強調される。

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