日本承認抗菌薬に対するASCスコア設定とDASC活用の全国サーベイランス統合に向けた検討　Journal of Infection and Chemotherapy

Assignments of antibiotic spectrum coverage scores of antibiotic agents approved in Japan: Utilization of the days of antibiotic spectrum coverageCitationJournal of Infection and Chemotherapy, 2025; 31: 102667論文の要約本研究は、抗菌薬使用評価指標であるDASC（Days of Antibiotic Spectrum Coverage）を日本の全国サーベイランス（J-SIPHE）に組み込むため、従来スコア設定がなかった日本承認薬に対し新たにASC（Antibiotic Spectrum Coverage）スコアを付与し、そのAWaRe分類との関連を解析した。背景DASCはDOT（Days of Therapy）にASCスコアを掛け合わせ、抗菌薬の使用量とスペクトラムの広さを同時に評価できる指標。これまでのASCスコアは主に米国承認薬を対象としており、日本で日常的に使用される薬剤の多くが未設定だった。J-SIPHEではDOTやDDD、AWaRe分類は導入されているが、スペクトラム幅を直接反映する指標は未統合。方法日本で承認され、過去研究でASCスコア未設定の抗菌薬を対象に、16微生物カテゴリーに対する活性を文献・添付文書・専門家合意に基づき評価。経口剤と注射剤で有効成分が同一の場合は同じスコアを付与。AWaRe分類との相関をSpearmanの順位相関係数で解析。結果ASCスコア範囲は3〜16（中央値7）。AWaRe分類との相関は弱く（ρ=0.234）、両者は異なる視点から抗菌薬使用を評価することが示唆された。例：アンピシリン/スルバクタム（Access）は広域活性でASC=8、セフィデロコル（Reserve）はグラム陰性菌特異的でASC=5。意義新たなスコア設定により、日本で使用される全承認抗菌薬のDASC算出が可能に。DOTとの併用により、広域薬の削減やde-escalation評価をより精緻に行える可能性。AWaReとDASCは補完的関係にあり、両方を併用することで抗菌薬適正使用（ASP）の評価精度向上が期待される。

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