流行情報：麻疹 2025年5月現在　病原微生物検出情報（IASR）国立感染症研究所 2025年7月

麻疹 2025年5月現在 ― IASR Vol.46 No.7（No.545）特集CitationInfectious Agents Surveillance Report (IASR) Vol.46 No.7, 2025年7月発行概要本号は国内外の麻疹の流行状況と対策について特集している。国内の発生状況2025年5月までに国内で複数の麻疹症例が報告された。過去数年間は散発例にとどまっていたが、海外からの輸入例を契機とする集団発生が複数地域で確認された。山口県では医療機関内でのクラスター、神戸市では輸入関連例の発生とともに分子疫学解析によるウイルス遺伝子型の同定が行われた。ワクチン接種率と地域要因定期接種率は全国的には高水準を維持しているが、地域差が依然として存在する。特に沖縄県うるま市の解析では、人口動態や地域の医療アクセスが接種率に影響することが示唆された。海外の流行状況2024年以降、世界的に麻疹の再興が報告されており、米国やアジア諸国での大規模流行が注目されている。渡航関連例が国内発生の契機となっていることから、国際的な監視と対応が不可欠である。公衆衛生対応空港や医療機関での接触者対応、院内感染制御策、新生児への曝露時対応など、複数の事例から実務上の教訓が得られた。加えて、麻疹排除認定から10年を経た日本において、輸入例を契機とする流行をいかに防ぐかが今後の課題とされる。結論国内では依然として排除状態を維持しているが、輸入例を契機とした流行リスクは高まっている。ワクチン接種率のさらなる均てん化、発生時の迅速な分子疫学的解析と接触者対応、国際的な監視体制の強化が今後の重点課題である。

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