納豆菌が血流に！健康食品の代表「納豆」が引き起こす重篤な菌血症の実態と驚愕の致死率16%：遺伝子解析が明かした臨床的意義　OFID

元の論文：The majority of Bacillus subtilis strains isolated from blood cultures were derived from traditional Japanese fermented soybeans Natto: A single-centre retrospective studyCitation：Open Forum Infect Dis. 2025; doi:10.1093/ofid/ofaf574この単施設後ろ向き研究は、日本の病院における血液培養陽性の Bacillus subtilis 株の臨床的意義を解析し、それらが納豆由来株 (B. subtilis var. natto) である割合を調査した。◯ 方法対象：2016年4月〜2023年3月に血液培養陽性となった4,634検体。70例（1.5%）で B. subtilis が分離され、そのうち69例（99%）が遺伝子解析で B. subtilis var. natto と判明（図2, p.18）。「真の菌血症」は感染門戸の存在、または同日2セット以上の血液培養陽性など厳格な基準で判定。◯ 結果真の菌血症と診断されたのは25例（36%）、残り44例（64%）はコンタミネーションと判定。年齢中央値79歳、基礎疾患を持つ患者が多く、92%が市中発症。主な原発巣は腹腔内感染（13例）、肺炎（6例）、尿路感染（5例）。25例中7例（28%）が緊急手術や内視鏡処置を必要とし、4例（16%）が30日以内に死亡（表2, p.14–15）。抗菌薬感受性は良好で、69株中ほぼ全てがペニシリン、セフェム、カルバペネム、アミノグリコシド、ニューキノロンなどに感受性（表3, p.16）。◯ 解釈血液培養で検出された B. subtilis は、その大多数が納豆菌株 (B. subtilis var. natto)。一部は腹腔内感染や肺炎に伴い、重症化・死亡につながることがあり、安易に「無害なコンタミネーション」と判断すべきではない。ナローなβラクタム系抗菌薬で改善する例が多く、抗菌薬適正使用の観点からも注意が必要。高齢化社会・納豆消費の多い日本に特有の現象であり、今後は疫学的・国際的調査も必要。

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