腸チフスワクチン効果、リアルワールドでどう測る？観察研究デザインの真価とTNDの可能性　Lancet Global Health

The validity of test-negative design for assessment of typhoid conjugate vaccine protection: comparison of estimates by different study designs using data from a cluster-randomised controlled trialCitationLancet Global Health, 2025; 13: e1122–e1131論文の要約本研究は、バングラデシュ・ダッカで実施されたTyVAC腸チフス結合型ワクチン（TCV）のクラスター無作為化比較試験データを再解析し、ワクチン効果測定におけるTest-Negative Design（TND）とコホートデザインの妥当性を検証したものである。方法150クラスターをTCVまたは日本脳炎ワクチン群に1:1で割付け。TCV群75クラスターにおけるワクチン接種者と非接種者を対象に、クラスターRCT解析（ゴールドスタンダード）コホート解析TND解析（血液培養でS. Typhi陽性を症例、陰性を対照）の3手法でワクチン有効性（VE）を算出。さらにNegative Control Exposure（NCE）とNegative Control Outcome（NCO）解析でバイアスを評価。結果VE（ゴールドスタンダード）：89%（95% CI 81–93）コホート解析：79%（70–86）とやや低下TND解析：88%（79–93, 陰性＝培養陰性）、90%（75–96, 陰性＝非S. Typhi病原体陽性）でRCTとほぼ一致NCE/NCO解析では、コホート解析で非因果的な感染リスク上昇（約2倍）が見られたが、TNDでは検出されず。考察コホート解析は未測定交絡（例：医療機関受診行動の差）によりVEを過小評価する可能性がある一方、TNDはこれらの影響を受けにくく、RCT結果と高い整合性を示した。血液培養感度の低さはTND推定値に限定的な影響しか与えなかった。結論TNDは、ワクチン導入後の実地効果モニタリングにおいて信頼性の高い手法であり、NCEやNCO解析を組み合わせることで、交絡やバイアスの検出・補正が可能となる。低資源国でのワクチン効果評価にも有用とされる。

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