「隠れた死因」敗血症の真実：世界を変える大規模研究と健康格差　Lancet

Global, regional, and national sepsis incidence and mortality, 1990–2017: analysis for the Global Burden of Disease StudyLancet. 2020 Jan 18;395(10219):200–211. doi:10.1016/S0140-6736(19)32989-7本研究は、Global Burden of Disease（GBD）2017プロジェクトに基づき、1990年から2017年にかけた敗血症（sepsis）の世界的および地域別の発生と死亡率を詳細に分析したものである。年間発症数：敗血症の新規事例は世界全体で約4,890万例に上り、これは全死亡数の相当割合を占める。関連死亡数：敗血症による死亡は年間約1,100万例に達し、世界の疾病負担における極めて大きな割合を占める。地域別分布：全体の約85％は低・中所得国で発生しており、特にサハラ以南アフリカの負担が深刻である。年齢・性別分布：高齢者と新生児で発症率・致死率が高い傾向が確認された。動向：過去27年において、敗血症関連の発症および死亡率は減少傾向にあるものの、依然として世界的に主要な健康問題である。負担規模の観点から、敗血症は胸部感染症や心疾患に匹敵する世界的な死因となっており、早期診断・治療体制の強化が喫緊の課題である。医療資源の限られた地域（特に低中所得国）では、保健インフラの整備、医療現場における診断・治療能力の向上が不可欠である。今後は、地域特有のリスク要因に着目した精密疫学と実装研究の推進が望まれる。

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