レビュー：時間制の医学教育は限界か？ 地域医療の質を高めるコンピテンシーに基づく医学教育パラダイムシフト

医師の皆さんが日々の診療の中で感じる「本当に自分は必要なスキルを身につけているのだろうか？」という疑問。そして、「この教育システムは本当に今の社会のニーズに合っているのか？」という問いに、今回は真正面から向き合います。　今回のエピソードでは、伝統的な時間ベースの医学教育モデルの限界を指摘し、今後の医療の質を保証するために世界的に注目されている「コンピテンシー・ベースド医学教育（CBME）」の最前線を解説したレビュー論文を楽しく深掘りしていきます。地域医療の現場で求められる即戦力となる医師を育てるには、どのようなパラダイムシフトが必要なのでしょうか？伝統的な、時間ベースの医学教育モデルは、一貫した教育成果を生み出せず、卒業後の医師の臨床スキルやチームでの協調性にばらつきが生じています。現在の教育システムは、集団の健康改善、健康公平性、より良い患者ケア、医療従事者へのより良いサポート、医療費の削減という「クインティプル・ゴール」の達成に必要な社会的契約を果たすことに失敗していると多くの人が結論付けています。本レビューでは、アウトカムに基づいたコンピテンシー・ベースド医学教育（CBME）への移行を提唱しています。CBMEは、学習者の習熟度に応じた期間の柔軟性（時間可変性）を許容し、直接観察に基づく頻繁な評価（プログラマティック・アセスメント）を通じて、すべての研修医が求められる能力を確実に習得することを目指します。この変革は困難を伴いますが、教育者や研修生を含む関係者による集団的な取り組みの継続が強く求められています。このCBMEへの移行は、まるで、これまでは全生徒に同じ時間だけ泳ぎ方を教えていた学校が、「どれだけ速く泳げるか」という明確な目標を設定し、到達するまで個別指導を行う新しいシステムに変わるようなものです。時間がかかっても、最終的に全員が確実に溺れず、安全に泳ぎ切れる（＝質の高い医療を提供できる）ことを保証するための変革と言えるでしょう。Cooper D, Holmboe ES. Competency-Based Medical Education at the Front Lines of Patient Care. N Engl J Med 2025;393:376-88.#地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #医学教育 #CBME #コンピテンシー #NEJM #レビュー

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