病気を「治す」だけが医療じゃない？〜論文から学ぶ「癒し(ヒーリング)」の本当の意味〜

今回は、日々の診療で私たちが何気なく使っている「癒し（ヒーリング）」という言葉について、深く掘り下げて考えてみたいと思います。「先生、ありがとうございました」と患者さんから言われたとき、私たちは一体何を提供できているのでしょうか？病気を「治す(Cure)」ことと、人を「癒す(Heal)」ことは、どう違うのでしょう？「苦しみの超越」としてのヒーリングという概念を学びながら、患者さんとの向き合い方について考えてみませんか？本研究は、「癒し（ヒーリング）」という概念を医学において操作可能に定義することを目的とした質的研究です。研究者らは、この分野の権威である7名の医師への詳細なインタビューを実施しました。分析の結果、ヒーリングは「全体性（wholeness）」「物語（narrative）」「スピリチュアリティ（spirituality）」という3つのテーマと関連していることが明らかになりました。そして、これらのテーマを統合する中心的定義として、ヒーリングとは「苦しみの超越という個人的な経験」であると結論づけられています。医師は、患者の苦しみを認識し、和らげ、そして患者がその苦しみを乗り越え、新たな意味を見出す過程を支援することで、ヒーラーとしての役割を果たすことができると考察されています。Egnew TR. The meaning of healing: transcending suffering. Ann Fam Med. 2005;3(3):255-62.#総合診療 #家庭医療 #論文紹介 #癒やし #物語 #いなか家庭医の勉強ノート

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